70歳以上の高齢運転者による死亡事故のニュースが後を絶ちません。
ドライバー歴が長く、豊富な経験をもつベテランの皆さんですが、ベテランであることが安全につながらないこともあります。運転に慣れているうえ、慣れ親しんだ道では油断をしてしまうもの。慣れた道こそ、人や車が来るのではないかと、いつも以上に危険予測や防衛運転を心がけたいものです。
加齢による運転能力の低下も不安要素といえます。例えば、視力。「運転席にあるメーターやナビゲーション、また標識などが見にくくなった」、「夜に運転していて、前の車のブレーキランプがぼやけて見えたり小さく見えたりする」など……いずれも眼の老化が原因です。眼科で視力の検査を行い、適切なメガネをかけて運転しましょう。夜間視力が劣る高齢者は「暗くなったら運転しない」と決めることもいいですね。
通称・シルバーマークと呼ばれる四つ葉のクローバーとシニアを示す「S」の文字をモチーフとした「高齢運転者標識」。幸せの象徴の四つ葉に、若々しさを表す黄緑と緑、豊かな人生経験を表す黄とだいだい色の4色を使い、活発な高齢者をイメージがこめられています。この表示は義務ではなく、反則金などもありませんが、周囲への配慮、および、ドライバーである皆さん自身のため、運転する際は車両の前後の見やすい位置に「高齢運転者標識」を表示するように努めましょう。
とはいえ、知らず知らずのうちに認知症が発症し、認知機能が低下していながら、生活の必要に迫られて運転していたり、昔からの習慣行動として運転していたりする場合もあります。高齢運転者は免許更新や交通違反の際に認知機能検査を受けなければなりませんが、認知機能の低下はある日突然やってくるものでもあります。ちょっとした変化に気付いた周囲の方からの助言も重要になってくるでしょう。老化と向き合うことはなかなか辛い作業かも知れませんが、重大な死亡事故を起こしたら、それこそ人生台無しです。
運転に自信があっても車が必要でも、謙虚な自分に立ち返り、"思いやりのある判断"が必要な時が来るかもしれません。四葉のクローバーに込められている意味をもう一度見つめ直してみるのはいかがでしょうか。有効期間内の運転免許を自主返納することもできます。その決断をするのは勇気がいることですが、ホスピタリティードライバーとしての誇りは決してなくなることはありません。
運転免許証を返納する代わりに「運転経歴証明書」を発行することができます。すべてに対応ではありませんが、身分証明のかわりや高齢者運転免許自主返納サポート協議会の加盟店や美術館などで、さまざまな特典を受けることができますので検討してみてもいいかもしれません。
下記リンクをご参考下さい
警視庁 高齢者の交通事故防止対策について
警視庁 やってみよう!「運転時認知障害早期発見チェックリスト30」